人生初の歌舞伎に…
一昨日の10/11(水)に代休をいただいて、人生初の歌舞伎に行きました。
↓こちらの、夜の部。
歌舞伎座はいつも通勤経路にあって、
やることが多い時は木挽町広場のタリーズを勝手に第2オフィス的に使っておりました。物を書くときに静かで便利です。
↓前回の記事
見てると入る人はワクワクしてるし、出てくる人は幸せそうだし、私はあの小さなお稲荷さんも好きです。
ずっと行こうと思っていたけど、行けたのが今という感じでした。なかなか、時間が合わなかったです…。
さて、いざ潜入…。
ドキドキしながら予約をしたら、スーパー良い席でした。前から11列目、花道から3番目が、もっと遠いと思っていました。
しょえー、花道近い!舞台も近い!
表情まで見える~~!
ものすごいライブ感!!!
という感動から始まりました。
常連さんのご婦人たちがすごく優しい…
今回は同じ列にお隣にご婦人が2人だけ。ホッとしました。
NYでの初ブロードウェイの時もオーケストラ席で一人になり、
周りやトイレで一緒になった方々が、親切かつフレンドリーだったので、
こういう時に、自分はとっても運が良いなぁとしみじみ思います。
お弁当食べてたら親切な言葉と共に
「たくさん楽しんでこれからもっと好きになってね」
と声をかけてくれた方もいました。優しい…。
関係者席を押さえるの大変そう…
私の隣はWebで予約した時に、全て埋まっていたのですが、当日、右5席は空席で、
関係者席として自分達で押さえる大変さも感じました。
価格が落ちない工夫は必須だけど、海外の演劇みたいに、「直前に並んで席があったら少しだけ安く入れるよ!」という仕組みが
アプリとかで確立できたら、もっとすそ野が広がるし、
IT系・広告系のキャリアを持つ身としては、
ああ…担当だったらこの辺解消してあげたいな…と思いました。
残念ながら、もうメーカーに転職してしまったので、
プロボノとかクラウドファンディングとか機会があれば協力したいな
と感じる点でした。
以降、私の感想を綴ります。
歌舞伎役者さん、男らしいしめちゃくちゃ足が速い!
特に、最初の尾上松也さんの花道登場が俊足過ぎて「ビクッ!」ってなりました。
そうか、こんな勢いでこんな近くから出てくるのか、
すごいな…来て良かったな…となる掴みが素晴らしい。
照明が切り替わったり、小さな鈴の音が聞こえたりといった決まりごとに気づくまで、一人でドキドキしていました。
本当に野球の盗塁レベルにめちゃくちゃ速かったです。
役柄見ると、普通にイケメン役だし、ドラマでもいいお芝居してるのに、
深夜の『さぼリーマン甘太朗』で白目とか割と胸熱な人で、
「この人の面白さにもっと早く気付けば良かった!」と思いました。
あと、みなさん思ったより背が高く、細すぎない体格なのも安心感あります。
女形の人が女性以上に女だった!
坂東玉三郎さんの立居振舞が女性にしか見えないし、女性でも色気を感じる…!
男性から見た「こうであって欲しい女性像」が性別としての女性以上に再現されており、「はい、すいません、精進します」と反省。
それくらい、セクシーです。
何より、動きが女らしいので、1幕目に「お…男っぽい声だな…」と思った人が、
最終幕には落ち着いたマダムにしか見えなくなるから不思議です。
とにかく横顔がきれい!
写楽の浮世絵で見る通り、歌舞伎の役者さんって鼻筋が通ってて高い人が多い。
中村七之助さんの横顔は、ため息が出るほど、きれいでした。
たまに平和な時事ネタをぶっこむ!
何を言ってるのかわからない外国語の台詞にパンダとか平和なネタがチラッと混ぜてあり、捨て身で笑いを取りに来る巻き込み力に衝撃を受けました。
シリアスな場面では客席は暗く、明るく観客を巻き込む場面では明るくなり、
演じている人も反応を見られるのはやりがいがありそう。
人間をよく観察し、市井の人の感情に敏感
女性がヒステリーを起こす様を的確に捉えていたり、良い人が豹変して度を超える些細な瞬間を捉えたり、非常に人間をよく観察して、舞台上でもわかるように見せる技を感じます。
私は「抑揚が薄い日本語の語感×ミュージカル」でいきなり歌われると、リズミカルな英語の抑揚の時より違和感でムズムズしちゃう人ですが、歌舞伎はもっと大げさにやっているのにムズムズする違和感を感じさせず、楽しめました。
また、昔は大きな出来事や話題の速報的な役割を、市井の人の感情を敏感に汲み取って伝えていた歩みも端々に感じます。
特に、権力を私物化したり公私混同した人が度を超えることに対して「気にくわないね!」というスタンスは一本筋が通ってると思います。
吉良上野介さんが超遠縁なので子どもの頃から『忠臣蔵』は勘弁して〜…ですが、
片方の人が「自分の方が優位にもかかわらず、やりこめ過ぎる」という見え方のものに対して、ルールや法律そっちのけで感情的な反応が強く生まれやすいという点を押さえており、当時としてはなんて自由で挑戦的な世界なんだろうと思います。
そうだな…時事ネタを織り交ぜる傾向を考えると、「このハゲーーー!!!」とか江戸時代なら絶対いじられてただろうし、現代で演目考える人の方がまろやかですね。
見得をきると様式美としてきれい
お着物のゴージャスさもさることながら、様式美として非常にきれいな形に収まったポーズで、自分の身体を使ったアートを生涯かけて極めていくのだなと感じました。
中村芝翫さんは背が高くて迫力がありました。それから、白く塗った中村鴈治郎さんは、マスコット的なかわいさがありました。(10/16、見栄→見得を訂正。誤変換スミマセン)
学生時代の勉強が効く!
歴史に興味を持って時代背景を覚えていたり、古文や漢文が楽しかったりした人は、イヤホンガイドを使わなくても楽しめます。
良かった~!国語全般得意で!
良かった〜!予習好きで!
原典に当たって読み漁って、早めに行ってプログラム読み込むと、最高です。
↓今回はこれを読破してから行きました。
それから、イヤホンガイドの声の方が良い具合に枯れてるのもしっくりきます。おじいさんとお茶飲みながら見てるみたいな感じ。
中には楽しむ場所がいっぱい…!
縁起物だから食べておいでよー!と教えてもらった鯛焼きは「めでたい焼」という名で、紅白のお餅が入ってます。
熱々でとろけるし、これは罪深い味わい…!
水曜日限定のすき焼き弁当もお肉が柔らかくてとっても美味しかったです。
さりげなく、2階のロビーには東山魁夷の絵とかあります。
…というわけで、(ほとんどiPhoneで書いて手がプルプルしてますが…)
長い時間かけて工夫を凝らしたエンターテインメントが凝縮されていて、
非常に楽しい場でした。
こうして、人は沼にハマっていくのか…!私の曾祖母もハマったのか…!
せっかくなので、また見に行きたいと思います!